ソラリスというのは、フェラーニアというイタリアのメーカーが販売しているフィルムのブランドだ。
カメラがらみについては世界の中で日本・アメリカ・ドイツが御三家なので、イタリアのフィルムメーカーが存在する、と聞いたとき、珍しいな、と思った記憶がある。まあ当時efkeやらmacoやらの中小フィルムメーカーの存在をその頃は知らなかったのだが。
このメーカーを知ったのは、110カメラ収集という沼に足を突っ込み始めた頃で、と言うのもこのフェラーニアは、フジ・コダックに互して、結構近年まで110フィルムを製造していたのである。他にも、126(インスタマチック)のフィルムを、本家コダックが製造中止後も00年代半ばまで出荷しており、ニッチ方面で独自路線を進んでいたメーカーだったのかも知れぬ。
そのフェラーニアの110(に限らずすべての)フィルムだが、当時残念なことにカメラ店では入手できなかった。じゃあどこで売っていたかというと、東急ハンズやトイザらスなど、トイカメラを扱う店でもっぱら売られていたのである。私は、当時近所にあったビレッジバンガードで入手した。他社へのOEMにも応じており、日本でAGFAPHOTOブランドを付けて売られたフィルムなども、中身はフェラーニアのフィルムだった。
残念ながら、2008年中に110フィルムの製造を打ち切ってしまったため、その後は使うことはなかったけれど、近年は35mmフィルムなどカメラ量販店でも扱うようになり、目にする機会は多かった。そのフェラーニアが、フィルムの製造を打ち切るらしい
http://ferrania.jp/news.html。
リンク先を見て驚いたのは、「他社工場の生産ラインを借りて」製造していた、ということであった。どうも、最近のソラリスはアメリカ製らしく、本国の製造ラインが不調になったので、アメリカのメーカー(推測するに、たぶんK社なんでしょうな)に委託して製造していた、ということらしい。保管庫から引っ張り出してきたかつての110フィルムを見れば「MADE IN EU.」とあるから、少なくとも数年前は、イタリア製とは言わなくても、ヨーロッパで製造されていたのは間違いないのだが。
最近では、efkeのフィルムも製造ラインが不調になったために製造が止まってしまった、なんて話も聞く。さすがにデジタルへ移行した現状では、フィルムの製造ラインを1から再構築するだけの投資をするのもはばかられるだろうし、フィルム製造の未来には需要減の他に製造機器の老朽化という問題も生じているわけだ。
なんか、写真フィルムの将来はあまり明るくなさそうだけれど、とりあえず今フィルムがある110カメラ愛好家としては、今あるフィルムを使い続けていく、というスタンスで行こうと思う。
先のばかり考えたってしょうがないし、とりあえず今そこにあるものを撮る、でいいじゃないか。